糸を使わない不妊手術とは?
通常の手術では、血管や組織の縫合に糸を使用するため、体内に糸を残すことになります。もちろん医療用の糸を使用しますので、ほとんどの場合は問題がありませんが、ごく稀にこの糸に対する組織反応が起きて、しこりができてしまうことがあります。これを縫合糸反応性肉芽腫(ほうごうしはんのうせいにくがしゅ)と言い、皮膚から液体が漏出する・尿管を閉塞させる・水腎を生じる・無菌性脂肪織炎を引き起こすなどの症状が出ます。一度このしこりができてしまうと、一生涯治療が必要になることも珍しくありません。
血管をシールする
中心を走っているのが血管、そのまわりのオレンジが脂肪などの組織とします。
超音波振動により組織を凝固する事により、糸を使わずに血管をシールする事ができます。
去勢、避妊、腹腔鏡手術のみでなく、癒着の激しい腫瘍の切除でも出血を最小限にする事ができます。
縫合糸反応性肉芽腫の症例
トイプードル(4歳)
他院で去勢手術を受け、その時の縫合糸が反応して縫合糸反応性肉芽腫が発症した。発熱や食欲不振などの症状があったため、免疫抑制剤・ステロイドを使った治療を行っていますが、お薬を減らすと症状が再発するため、休薬することは難しいでしょう。
糸を使わない治療法
当院では、上記のようなリスクを避けるためにも、糸を使わないで手術することができる特別な医療機器を導入しています。具体的には、超音波振動によって血管を溶着させることのできる装置で、糸を使うことなく止血することができます。ワンちゃん・ネコちゃんが縫合糸反応性肉芽腫を発症するリスクを抑えたい方は、是非当院へご相談ください。